退院後に訪問看護を利用する理由、退院後に在宅介護を考える時知っておいてほしいこと。

 
入院している方で、先生から退院と言われて、訪問看護を利用を勧められたら、訪問看護を利用した方が良いと思います。
 
特に高齢者の方の場合であれば、先生の指示通りに薬を服用できないことや先生が退院後に指示した内容をうまく理解できていないことで先生の指示を守れず、せっかく退院されても、またお体の状態が悪くなるなんて状況もよく見られます。
 
なぜ、そういったことになるのかと、訪問看護が必要な理由について、一緒に考えていきましょう。
 

入院期間は短くなっている

現在、病院の入院期間は短くなっています。早期退院がすすんでいるということです。
 
病院の平均入院日数が、平成2年は平均47.4日→平成26年で33.2日と、14日は短くなっています。(引用:厚生労働省「平成26年(2014)患者調査の概況」より)。
 
平均寿命が80歳代となった時代で、医療や介護の体制は大きく変わっています。
 
それは、治療の場が病院から地域にうつるということです。
(参考:厚生労働省の社会保障制度改革のページに移動します「具体的には何を改革するの?」)
 
病院に入院して治療する日数は短くなり、在宅で治療を続けるという流れになっています。

医療の高度化で、病気の概念が変わっている

制度が変わるのは理由があります。病院での治療が高いというのもありますが、そのためだけではありません。
 
医療技術の高度化により、病気の概念が変わっているからです。
 
昭和25年までの死因の第1位は、結核でした。
 
その後、昭和56年まで脳血管疾患、昭和56年より悪性新生物(癌)となっています。
 
結核は完治できる病気なので、病院で治療するので良かったのです。
 
脳血管障害で亡くなる方は減りましたが、代わりに麻痺など後遺症症状が残る方が増えました。
 
後遺症は病院で治療しても、治りません。
 
そして、癌は治療できる場合とできない場合があります。
 
 
後遺症でも癌でも治療が難しい場合は、やはり病院に入院する意味は少ないと言えます。
 
このように、医療技術が向上したことで、病気の概念も変わってきています。
 
他にも現在は、糖尿病や認知症、脳梗塞の後遺症による麻痺、腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など、治療しても完治できない病気や障害が増えてきています。
 
 

病院は、集中した治療や高度な治療を行う場になる

どちらにせよ、早期退院が進むということは、病院の役割が変わります。
 
病院は、集中した治療や高度な治療などを行う場となりました。
 
そしてある程度落ち着いた状態になれば、病院の役割は終わりますので、退院となります。
 
 

退院後、病状を悪化させないために必要なこと

 
退院して家に帰ったから、「もう薬なんか飲まなくても大丈夫」「退院したから、好きなものを食べる」と思う方もおります。
 
それでは退院時よりも病気や障害が悪化してしまいます。
 
退院しても、病気は完治していないので、退院後も引き続き、病気の管理が必用です。
 
今までは病院のスタッフが病気の管理を行っていました。
 
家では、ご自身もしくはご家族が病気の管理を行っていく必要があります。
 
それでは、次からは実際に退院支援を行っている訪問看護師が、ご自宅での病気の管理で気を付けた方が良いと思うことをつづっていきます。
 
 
 

病院で管理されていた薬を自身で管理する

ご自宅に戻ったら、薬を決まった時間に決まった通りに飲まないと、病気によってはすぐに悪化します。
 
脳梗塞、脳出血、心筋梗塞を発症した方に処方されている血液をサラサラにする薬
 
糖尿病の方が使用するインスリン関係や内服薬
 
は、使用しない日があるだけで、病気が悪化してしまいます。
 
病院では毎日決まった時間に看護師が薬を配りに来てくれるので飲み忘れることはありません。
 
ご自宅では飲むことを忘れる、つい億劫に思うなどで、服用がしっかりとできない場合があります。
 
服薬を毎日続けるという習慣を持つのは、根気が必要になります。
 
病院では熱や血圧を測り、「お変わりありませんか?」と聞いて、体調の変化や薬が効いているか副作用が出ていないか日々確認しています。
 
医師から、血圧を記録するように言われていましたら、血圧を測って記入してください。
 
ご自身かご家族で、体調の変化など記録していくことで、日々の中での変化に気付いていけます。
 
変化に気づいて、早期に対応することが健康状態を悪化させないコツです。
 
訪問看護が入れば、例えば薬の正しい服用の仕方や薬カレンダーにセットを行い薬の服用を確認しやすいようにすることや、熱や血圧、体調の確認を行うことで、変化に早く気が付くことができます。
 
 
 

病状が不安定な中、入浴ができるか

また意外と想定していないことで、退院後のご自宅でのお風呂の問題があります。
 
お風呂は、自宅では事故発生が一番多い場所です。
 
入浴では、裸になり気温差がある中で、お湯に入ることで血圧の変動が多いこと。
 
濡れているため、滑ることと服を着ていないのでダメージが大きいことが事故につながる要因です。
 
病院では、入浴を行う前に看護師等が血圧など健康状態を確認します。
 
入浴中も、看護師や介護スタッフが、健康状態を観察しながら、安全に入浴できるように介助や見守りを行ってくれます。
 
自宅では、安全にお風呂の入れる環境が必要です。介護支援専門員や福祉用具専門相談員の方に相談することで解決もできます。
 
ただ、特に、高血圧や呼吸器系の病気がある方は、入浴中の体調の変化、血圧の変動でめまいがする、呼吸が苦しくなるなど、心配になってお風呂に入れない場合があります。
 
だからと言って、お風呂に入らないことで、何かしらの皮膚の病気になってしまうことがあります。
 
特に退院後は、まだ病状が安定していない場合もあります。
 
訪問看護を利用することで、お風呂に入れるかどうかの判断から、入浴中の健康状態の観察など行うことができます。
 
創(きず)がある場合は、軟膏があれば塗布して、医師の判断が必要であれば連絡して、どう対応するのか指示を受けます。
 
 
 

在宅酸素をつけていた場合、どうするのか

喫煙が原因であることが多いCOPD(慢性閉塞性肺疾患)や肺気腫の方は、在宅酸素が必要な状態で退院となる場合もあります。
 
在宅酸素で気を付けることは、①酸素なので火気厳禁、②酸素の量と時間を守る、です。
 
COPDになる方は喫煙している方も多く、退院後も喫煙習慣が続き、在宅酸素を行いながら、喫煙して、火災になった方もおります。
 
②の酸素の量と時間についても、量を増やすことは意識障害を起こすこともあり、危険です。
 
息苦しい場合は医師に確認を取りながら調整していく必要があります。
 
酸素をしているからと、過剰な安静でいると体が動かなくなってしまいます。
 
訪問看護を利用することで、適度に体を動かして、安全に生活できるためのアドバイスができます。
 
 

病状が安定しない方の場合、悪化予防の早期判断は誰が行えるか

病状が安定しないと、本人や家族も不安です。ヘルパーさん達も不安になります。
 
いつもと違うような気がすると思っても、それを、いつ?誰に?相談したら良いのかわからないこともあると思います。
 
訪問看護を利用いただければ、病状が不安定とならないようにアドバイスできます。
 
異常を早期発見して、先生と連絡を取り、早めの対応ができます。
 
ご家族が仕事で不在でも、連絡ノートを用いて、利用者様の状態をやり取りもできます。
 
 
 

退院後の食生活も注意が必要

病院の食事って、おいしくないですよね(病院の厨房の方、ごめんなさい)。
 
病院の食事はカロリー、タンパク質、脂質、塩分をコントロールしているからです。
 
なので、病院の食事は、本当は体においしい食事なのです。
 
普段の食事の味付けを濃くすることや、コンビニのお弁当や中食と言われるスーパーのお惣菜は、食事に求めることは「おいしい」のですが、体にはおいしくないのです。
 
揚げ物やソースがたっぷりとかかった食べ物に慣れてしまうと、カロリーオーバー、塩分過多、脂質の取りすぎなど、まさに生活習慣病の原因そのものになります。
 
高血圧、糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞などの病気をお持ちの方が、おいしさを優先した食事を食べて続けていると、いくら薬を服用していても、健康状態は悪くなり病気を再発してしまいます。
 
退院時に、先生や看護師は、食事の注意点なども指導しつつ、薬の調整を行っています。
 
その食事の注意点を、うまく守ることがご自宅での生活を続けるコツです。
 
訪問看護では、食事でどういった点で気をつけていけば良いのか、助言できるので、病気の悪化を防げます。
 
好きなものを食べていけないというのではありません。
 
好きな食べ物を食べるにあたって、どういったことに気をつけていけば良いかという視点でご助言できます。
 
 

退院後は積極的に訪問看護を利用しよう

退院後に気を付けることは以上になりますが、訪問看護を利用した方が良いことは多いと思います。
 
費用はかかることですが、入院するよりはお金はかかりません。
 
病気の管理で、うまくできないことがあれば、上手に医療職の力を借りた方が良いと思います。
 
繰り返しになりますが、病院の先生や看護師、医療相談員に、訪問看護の利用をすすめられましたら、訪問看護をぜひご利用ください。
 
退院後は、病院で管理されていたことをご自宅での生活に取り入れていく移行期です。
 
うまくご自宅での生活に病気の管理を取り込めるように、訪問看護の利用は積極的に行った方が良いと思います。
 
 
 

病気や障害とうまく付き合う方法がわかれば、訪問看護は卒業できる。

病気や障害との付き合い方(自身の状態の把握、薬、食事、医療機器の使い方)がわかるようになれば、訪問看護の利用を終了するか、回数を減らすことは大丈夫です。
 
ずっと、誰かが訪問にやってくるのは、煩わしい場合もありますよね。お金もかかることでもあります。
 
もし、訪問看護を終了したいと思っても、訪問看護のスタッフが健康面を考えて、サービスを終了しない方が良いと言う場合もあります。
 
でも、本当に訪問看護の利用を中止したい場合は、遠慮なく申し出てください。
 
たまにお金のために訪問を続けるのでは?と思う方もおりますが、そういう場合は、経営が別系列の医師などの医療者に意見を聞いてみることで、本当に継続した方が良いかわかるかもしれません。
 
訪問看護は終了しても、何かあれば、主治医の先生の指示があれば、また再開できます。
 
その時は、ご担当の医師もしくは訪問看護ステーション、介護支援専門員の方などにご相談ください。
 
同じ訪問看護ステーションではなく、別の訪問看護ステーションに相談することもできます。
 
そして、最後になりますが、いくつかの病気や障害を持っていても、平穏に自宅での生活を過ごしている方は多くいます。
 
この記事を読んでいただいた方が、無病息災ではなくとも、多病息災として、ご自宅での良い生活を送れることを願っています。